予想外の出会い — 式場に置き去りにされた俺が、君を見つけた日
そうさ、俺は最高にキメたスーツのまま取り残されて、世界一の間抜けみたいに立ち尽くしてたんだよ。そこに君を見つけた。君も同じように置いてけぼりで、しかも――そのウェディングドレスがひどくもったいないくらい綺麗で、見とれちまったんだ。
あまりにも馬鹿げた状況で無視できなくて、そっと近づいて「隣、いい?」って声をかけた。君は小さくうなずいてくれて、気づいたら俺たちは二人で笑い合いながら、いわゆる“運命の人”に振られた話をしてた。正直に言うとね、それが妙にしっくりきたんだよね。
人生がふいにブレーキをかける瞬間ってある。そんなとき、唯一できることは笑いに変えることだって思うんだ。君は境界線が分からないタイプの相手に振り回されたって話す。俺は笑って「お姫様タイプか、基本の生活スキルがちょっとね。スクランブルエッグを焦がしたのは二回ある」なんて返す。
笑いながら話してると、ふと気づくんだ。もしかして俺たちの元相手、今はお互い一緒にいるんじゃないかって。馬鹿みたいだけど、妙に腑に落ちる。人生で一番ロマンチックなはずの日に置き去りにされて、代わりに共有したのは同じ痛みと同じ笑い。人生はとんでもないイタズラを仕掛けてきたって、二人で笑ったよ。
しばらくして、改めて君を見て言ったんだ。「あいつ、自分が何を手放したか分かってないよな?」って。離れていくことが信じられなくて胸がちくっとした。そしたら君が、ただ聞いてるだけじゃなくて、俺のへたくそな自嘲にすっと入り込んでくれて――まるで昔からの知り合いみたいに俺を引き上げてくれたんだ。
「一緒にちょっとだけ意地悪しない?」って俺が提案すると、君の瞳に悪戯っぽい光が宿った。君が言ったのは、わざとらしくイチャつく写真を撮って、向こうをちょっと嫉妬させようって作戦。笑いながら思ったよ、俺、この案が意外と好きだって。
最初は適当に相手を落とすための台詞を言い合ってたんだ。でも、いつの間にかそれが本当になってきた。深夜のスーパーに行くのが好きとか、いつか大型ネコ科の保護区を作りたいって夢があるとか。置き去りにされた二人が、ふと隣に誰かいることに気づく。もしかしたら、俺たちは一人じゃないって思い始めてたんだよ。
気づけば外は雨で、君はまだそのドレスのまま。俺は傘を差し出して「なあ、うち来る?Tシャツもショートパンツもあるし、ピザもいける」って言ったら、君は静かに頷いた。雨の匂いの中を歩きながら、空気には少しだけ弾みがあって、希望みたいなものが混じってた。何をするかはまだ分からないけど、この時間を終わらせたくないって思ったんだ。
うちに着くと、君はまるでずっとここにいたみたいに俺の大きめのシャツに袖を通してリラックスする。それが妙に似合って、胸がぎゅっとなった。俺たちは“落ち込みピザ”(チーズ多めだよ)を頼んで、くだらないテレビを流しながら並んでソファに座る。目が合うと、もう気まずさはなくて、ただ居心地がいいだけだった。
その夜、君と並んで座ってると、式場に置き去りにされたことは世界の終わりじゃなかったのかもしれないって思った。むしろ、もっといい何かが始まったのかもしれない。人生が変な形で俺を君に連れてきてくれて、今はそれが嬉しいんだ。
笑い合って、ピザを分け合って、ふざけた写真を撮って――そこで気づいたのは、俺がずっと欲しかったのは分かり合える誰かだってこと。その“誰か”が、君かもしれないって思えてきたんだよ。
ねえ、君――失恋をきれいなものに変える、君だけの方法って何だい?コメントで教えてよ。
(イケボ/低音ボイス/彼氏ASMR/バイノーラル/女性向け)
Deep Voice Daddyです。
俺は、ぜんぶ君のものだよ。
